Fieldworkers's Diary

連れ出しスナックで愛を探す:温泉街の夜のひととき⑨

内容はすべてフィクションです。情報はその当時のもので最新ではありません。

この日もMに会う予定だったが、何故か前回会ってから少し経って連絡がすっかり来なくなっていた。一応今回来ることは伝えておいたが、返信も素っ気なかった。AとのことはMにはバレていないと思っていたが、もしかしたら...と頭をよぎった。気にしていても仕方がないので温泉に入るなどして時間を潰した。この街は夜にならないとやることがほとんどない。

20時頃にはスナックの看板の電気もつき、いつも通りキャッチが出ていた。スナックをざっと回ってみた。適当に顔を見せてもらうと、前にはいなかった子が散見された。今日来たばかりの子だよと話すキャッチ。どこから連れてきたのか尋ねると、知らないと答えた。入国が簡単ではない時期だったので、おそらく国内残留組であろう。その逞しさに頭が下がる思いだった。

そうこうしているうちにいい時間になっていたので、Mがいるであろう店に向かった。なんと店の看板の電気はついていなかった。どうやら休みのようだった。Mに今日は仕事しているかと連絡をとった。少し経ってから、「ヘルプで別の店にいる、来る?」と返事があった。すぐにその店に向かった。入店するとMは接客中だったが、すぐにママに耳打ちをして私の横に座った。約1ヶ月ぶりの再会。Mから前回会った後に色々あったことを伝えられた。

どうやら筆者とMがタイレストランで食事している様子を撮影した写真が流出し、それを見たAがMに直接、筆者との関係性を問いただしたらしい。その時既にAと筆者の関係は切れていたにもかかわらず、これまでの出来事も全て話したようだった。Mは大変うんざりしていたと言っていた。いつ頃の話か聞くと、ちょうど連絡が来なくなった時期だった。さらにMは筆者の顔が界隈で知られていることにも違和感を感じたと伝えてきた。名前は知らないけど顔は知ってるって言う子が多くて、どんだけ遊んでたの?と呆れた様子で言われた。Mが「1番好きだよ」と苦し紛れに言うが、「じゃあ2番、3番、4番は誰?」と聞く耳すら持ってくれない始末。結局スナックの閉店前に店を出た。Mは仕事が終わったら電話すると言っていたが、結局電話は鳴ることはなかった。その夜は寝付きが悪く、睡眠が浅かった。完全に自業自得なのだけれど、何故全てがバレてしまったのか、Aとの出会いからここまでが繋がっていたのかと様々な思いが頭を巡った。そして私にとって今の上山田温泉は完全に頭打ちであると理解した。ほとぼりが冷めるまでここには来ない方が良さそうであった。

翌日、ホテルをチェックアウトして戸倉駅へ向かった。駅に着くとMから、「昨日は連絡できなくてごめん、酔っ払ってた」と連絡が来ていた。